TPP交渉参加・・・「食の安全」は守られるのか

先日、安倍首相が日本のTPPへの交渉参加について正式に表明をしました。TPP参加に伴って懸念されることとして、日本の農業への影響、ひいては食料自給率の低下などが指摘されていますが、「食の安全」という視点でも心配なことがあります。つまり、引き下げられるのが関税のみならず、食品の安全に関わる様々な規制も緩和を迫られるのではないかという懸念です。
 具体的には、加工食品に使用される「食品添加物」や農産物に使用される「農薬」などですが、これらの使用基準は国によって異なり、現在でも輸入食料品に関する食品添加物の規制や残留農薬基準の変更を他国から求められているのが実情です。
さらに、遺伝子組み換え作物についてですが、現在わが国では、遺伝子組み換え作物の遺伝子やたんぱく質が残存している食品については「遺伝子組換え」もしくは「遺伝子組換え不分別」の表示をすることを義務づけています。私たちが頻繁に目にする「遺伝子組み換えではない」という表示は任意表示ですが、日本の消費者があまり遺伝子組み換え作物について良いイメージを抱いていないことに対応して、商社やメーカーが積極的に記載しているものです。ところが、除草剤で枯れない,害虫に強いといった特殊な性質を有した遺伝子組み換え作物の栽培は、世界的にはかなりのスピードで拡大しています。(下表参照)


世界の栽培面積に占める遺伝子組み換え作物の割合

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日頃私たちが食している「遺伝子組換えでない」食品というのは、国内産もしくは商社が契約した海外の農家によって栽培された作物によって作られたものですが、このようなデータを見ますと、世界的に貴重なものになりつつあるという感じですよね。
遺伝子組換え作物とは、従来の作物のDNAに特定の性質を発現させる遺伝子を組み入れたDNAを有する作物のことをいいます。組み入れた遺伝子が酵素としてはたらくたんぱく質を作り出すことで、その生物に「病気に強い」「甘い」「実をたくさんつける」などの特定の性質を与えます。しかし、最も問題視されているのは、遺伝子組換えをしたDNAが作り出すたんぱく質がアレルギーの原因になりはしないかという点です。こうした問題が指摘されつつも、現在すでに安全性が確認されたという168品種の販売・流通が認可され、食品原料や家畜の飼料として使用されています。つまり、私たちは自覚のないまま、間接的に遺伝子組換え作物を食べているのです。ただ、現在使用されているものは安全であっても、今後新たに作り出されるものの中に、前述のような問題を引き起こすものが出現するかもしれませんよね。
今後TPPに参加をすることになった場合、表示義務の規制を見直すよう迫られるなど、遺伝子組換え作物を輸入する際のハードルが引き下げられ、私たちは安価な遺伝子組換え作物か高価な非組換え作物かの選択を、余儀なくされることになるかもしれません。今後のTPP交渉参加に際しましては、私たち国民の食の安全を守るという視点からも、交渉に関わる方々には慎重で毅然とした姿勢で臨んでいただきたいと切に願います。