プロバイオティクスと免疫力

3月が目前となり、日差しにも勢いが感じられるようになってきました。桜の花が待ち遠しいですね。
ところで、この冬はノロウイルスやインフルエンザが大流行し、最近ではマダニから感染するウイルスによって死者が出たなど、感染症による健康被害の報告が後を絶えません。このような中、近年注目を集めているのが腸管免疫系という体のしくみと、その機能を高める乳酸菌などの善玉菌の存在です。
腸管には体内の免疫細胞や抗体の過半数が存在していて、体の中で腸は最大の免疫器官です。そして腸管内には500種類以上もの多種多様な細菌が住み着いていて、数としては約100兆個,重さでは1~1.5kgにもなるそうです。こうした腸内細菌が集まっている様子を腸内フローラといい、腸内フローラを構成する細菌は、体にとって有効なはたらきをする善玉菌、有害物質を作り出したりする悪玉菌、状況によってどちらにもなり得る中間的な日和見菌とに分類されます。私たちの健康が維持できているのは、善玉菌が悪玉菌を抑えて、腸内フローラが一定のバランスを保っているからです。なんだかちょっと人間社会のようですね。善玉菌の代表的なものは、乳酸菌ビフィズス菌(両者をまとめて乳酸菌と呼ぶことが多い)で、これらの腸内でのはたらきを以下に整理してみましょう。
① 腸内で有機酸を作り出して腸内を酸性にし、悪玉菌の活動を抑える。
  (乳酸菌は主に乳酸,ビフィズス菌は酢酸を多く作る)
② 便秘や下痢の症状を改善する。
③ 腸管免疫系の機能を高め、感染症やアレルギーの発症を抑制する。
④ 発がん物質を排除する。
⑤ 血糖値や血中コレステロール値の上昇を抑制する。

このように善玉菌は、人に対して数々の有益な作用をもたらすことが認められているため、プロバイオティクス(Probiotics)と呼ばれています。プロバイオティクスとはギリシャ語で「生命の益になるもの」という意味で、アンチバイオティクス(Antibiotics)「生命の害になるもの=抗生物質」と対峙させて用いられます。抗生物質は病原菌を退治して速やかに症状を回復させる強力な武器ですが、同時に乳酸菌のような善玉菌も失い、場合によっては耐性菌を作り出してしまうなど、諸刃の剣のようなところがあります。これに対しプロバイオティクスは、本来体に備わっている機能を高めて病気にかかりにくくするという、予防の意味合いが強いものです。
 次に、このプロバイオティクスを増やして体内に根付かせるためのポイントを整理してみましょう。まず、プロバイオティクスは加齢やストレスによって減少すると言われていますので、ヨーグルトなどのプロバイオティクスを含む食品を長期間、日常的に摂ることが大切です。またプロバイオティクスは、たんぱく質や脂肪の多い環境では増加しにくく、増やすためには栄養になるオリゴ糖(ガラクトオリゴ糖,フラクトオリゴ糖,イソマルトオリゴ糖など)や難消化性の食物繊維が有効だと言われています。こうしたプロバイオティクスを増殖させるはたらきをもつものをプレバイオティクス(Prebiotics)といいます。Preとは「前に」「先だって」という意味です。つまり、プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂ることがより効果的で、これをシンバイオティクス(Synbiotics)と呼んでいます。似たような言葉いくつも出てきて、ややこしいですね。
 体の免疫力を高めるのには、自分にあったヨーグルトや乳酸菌飲料などを長期間継続して摂ると同時に、野菜類や芋類,海藻,果実類などの食物繊維の多い食品を摂ることを心がけるということでしょうか。実は私も数年間、「お腹の調子を整える」というヨーグルトを毎日飲んでいますが、お腹の調子も良いですし、風邪に罹ることも少なく、肌もきれいになった感じがします。いずれにしてもこうした効果は一朝一夕に得られるものではなく、日々の積み重ねによって徐々に備わるものです。やはり「継続は力なり」ですね。