骨の健康を支える栄養素(その2)

骨は骨基質のコラーゲン(たんぱく質)に、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムが沈着して形成されます。なので、骨の材料になる栄養素として、たんぱく質や無機質(カルシウム,マグネシウム,リン)が必要ですが、さらに体内ではこれらの栄養素を自分の組織に変えていくために、いくつかのビタミンの存在が欠かせません。
 コラーゲンは骨基質になるほか、結合組織として細胞・毛細血管の維持にとても重要なはたらきをしていて、それが「肌に張りを与える」という表現となって大人気になり、コラーゲンを直接飲食したり肌に塗ったりするための様々な商品が販売されています。ところが、コラーゲンはたんぱく質なので分子が大きく(高分子化合物といいます)、飲食した場合は消化酵素によってアミノ酸レベルにまで分解され、吸収された後に再びどの程度コラーゲンに合成されるのかについては未知数です。そして、肌に塗っても分子が大きいので内部に浸透することはないと思われます。ちょっと横道に逸れてしまいましたが、つまり、食品に含まれているたんぱく質は、たんぱく質の基本単位であるアミノ酸に分解されて吸収された後、体に必要な様々なたんぱく質へと合成されていきます。そしてコラーゲンが合成される際に不可欠なのがビタミンCです。人間はビタミンCを体内でつくることができない数少ない動物に該当するので、新鮮な野菜や果物を食べることで絶えずビタミンCを補うことが必要です。下にビタミンCを特に多く含んでいる野菜や果物を挙げてみました。これらの野菜は、ビタミンCのほかにもカロテン(体内でビタミンAのはたらきをする色素)や葉酸、さらには便通を良くして腸内環境を整える食物繊維も含んでいますので、毎日積極的に食べることをおすすめします。

画像


コラーゲンと同様に骨基質となるのが、オステオカルシンというたんぱく質ですが、この合成にはビタミンKが欠かせません。さらにビタミンKは、骨からカルシウムが溶け出すことを抑制する効果もあるといわれています。ビタミンKを含む食品は、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や納豆,チーズなどで、様々な意味で骨の味方になります。
 次にカルシウムの代謝に深く関係するビタミンDについてですが、ビタミンDには、植物に由来するビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と動物由来のビタミンD3(コレカルシフェロール)があります。食品から摂ったビタミンDや体内で合成されたビタミンDは、肝臓と腎臓で活性化された活性型ビタミンDとなり、ホルモンのように作用します。下にビタミンDのはたらきをまとめてみましょう。

画像



このように、骨の健康維持には欠かせないビタミンDですが、私たちの体の中でもいくらか作ることができます。人間の皮下には、7-デヒドロコレステロール(プロビタミンD)があり、紫外線にあたることによってビタミンDが合成されます。なので、かつて日照時間の少ない地域に住む人々には、ビタミンD欠乏によるくる病などが多く発症していたそうです。紫外線については、近頃は「UVカット」などといわれて敵視される傾向がありますが、適度に陽の光を浴びることは必要なことなのです。
食品からビタミンDを摂取する場合は、下記のような食品がおすすめです。

画像


ビタミンDの成人の目安量は1日あたり5.5μgですが、鮭100g中にはおよそ30μgのビタミンDが含まれています。ビタミンDは脂溶性で、体内にある程度留めておくことができるので、鮭を一切れ食べれば5~6日のビタミンDをキープしたことになります。それからきのこ類には、菌類ステロールでプロビタミンDのエルゴステロールが含まれています。きのこ類は食品の中では地味な存在ですが、低カロリーで食物繊維も含んでいるなど、なかなかの優れものです。

このように骨の健康維持に必要な栄養素や食品は数々ありますが、逆に摂りすぎると逆効果になったり、カルシウムの吸収を阻害したりする食品成分もあります。次回はそのような視点でまとめてみたいと思います。