ビタミンEと骨粗しょう症 (効果的な栄養素の摂り方)

3月の初め頃、ビタミンEの過剰摂取によって骨粗しょう症が引き起こされるという研究成果についての報道がありました。慶応大を中心とする研究チームが8週間にわたってマウスにビタミンEを過剰に摂取させたところ、骨の新陳代謝に関わる破骨細胞*のはたらきだけが大きくなり、マウスの骨量が減少したというものです。


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ビタミンEは脂溶性(あぶらに溶ける性質)のビタミン*の一種で、体内での主なはたらきは抗酸化作用です。体内の細胞膜を構成する脂質や血中脂質などが活性酸素やフリーラジカルによって酸化されて体組織が劣化するのを防ぐ効果があることから、「老化を防ぐ」あるいは「体のサビを防ぐ」などと表現され、根強い人気のあるビタミンです。ところが、ビタミンEのような脂溶性物質は体内に蓄積しやすく、同じく脂溶性のビタミンAについては、以前から胎児の奇形や頭痛などの過剰症が指摘されていました。ところがビタミンEについては、耐容上限量が成人男性で800~900mg,成人女性で650~700mgと示されていますが、過剰症についてはあまり知られていませんでした。なので、今回の報告を耳にして「やはりね」「もっと早くわかっていれば」というのが、私の率直な感想でした。

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ビタミンEと同様に水溶性のビタミンCにも抗酸化作用があり、加工食品の原材料表示を見ますと、油脂の多い食品にはビタミンE、飲料のように水分の多い食品にはビタミンCが、それぞれ食品成分の酸化による劣化を防ぐ添加物(酸化防止剤)として使用されていることが分かります。ビタミンEとC以外にもビタミンAや無機質のセレン,色素のベータカロテン(体内でビタミンAとして作用する),コエンザイムQ10(ビタミン様物質)などにも抗酸化作用があり、私たちの体内ではこれらの抗酸化物質が連係しながら機能しています。よって、ビタミンEだけを薬やサプリメントなどで多量に摂っても、思うほどの効果は得られないばかりか、冒頭に書いたような過剰症に陥る危険があるというのが現実です。
  栄養素の効果的な摂り方とは、「各栄養素をバランス良く摂る」「適量を摂る」ということで、それをかなえる方法は、「栄養素は食材から摂る」ということです。ビタミンEの場合、成人1日あたりの摂取目安量がおよそ7mgですから、下記のような食材を積極的に摂ることをおすすめします。


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これらの食材が優れているのは、ビタミンE以外にもたんぱく質や無機質,脂質,糖質,食物繊維,ビタミンなど、複数の栄養素をあわせ持っていることです。つまり、このような食材を数種類組み合わせて食べることによって、体に必要な栄養素を過不足なくバランス良く摂ることができるのです。さらに食材にはそれぞれの風味・美しさ・季節感があって、錠剤では得られない「食べる楽しみ(精神的な満足感)」を得ることができます。
  「食の極意」をまとめますと、「過ぎたるは及ばざるがごとし(栄養素の過剰摂取に注意)」,「急がば回れ(サプリメントを飲むより食事の充実を)」といったところでしょうか…。